ハツェの真時代傾向璋

興味を持ったことを書いていく鱗片的な場所から先の未来の場

【転記】No time.を作る前後

目次


はじめに

この文章は私がVRChatにPublishした世界「No time.」についてのお話です。
ネタバレな話も存在していますので、気に障る方は一度訪れてみることをおすすめします。
【追記】
この記事はブログ移転に伴い、昔のブログの記事(2019年7月26日投稿)から転記しているものになります。
https://vrchat.com/home/launch?worldId=wrld_98bacd30-ee43-44f6-930d-5da5f8ee4883

この世界が出来るまで

元の世界

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去年の世界風景


実は昔に作りかけていた場所に手を加えた形で今回は作っております。
時は西暦2018年9月。未だ平成の時代。
その時に私は入った人がかなりの確率で寝落ち出来るような心地の良い世界を作ろうと思い、作り始めます。
最初はTrrainとSkyboxだけをポンと置いただけで今よりも数倍明るい太陽光を入れただけの世界でした。
それから太陽光をかなり暗くし、たった一つの炎を加え、それを囲むように椅子を設置して楽しんでいました。
上の写真を見る限りこの場所は今も形を残しています。まぁ、当時は白黒にするなんて技術もないですし予定もないですから色がありますね。あたりまえですが
何よりもただ懐かしいです。
久しぶりにこの写真を撮りに5.6.3p1のころのプロジェクトをあけてTestBuildして撮りに行ったわけですが、察しの良い方ならわかるでしょうが奥のplaneのテクスチャが真っ黒です。
これもまた時代を感じてしまいます。懐かしいです。



VRAAのために構想し始めた最初の世界

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VRAAのために最初に手掛けた世界


最初は一から形を設計しようと思い、新世界を創ってました。
ですが、結局世界に内在する情報量(主にインパクト)が足りなかったので没になりました。
やはり、一から世界を構築するというのは難しいですね。私には向いていないでしょう。
ただ、当時から「世界とコミュニケーションをとって白黒世界から色を開放する」ということだけは決まってました。
なぜかそれが作りたかったのです。
その後、昔の場所と統合していく形で今の世界につながります。
統合していこうと思ったわけは、単に時間が無いということに気づいてしまったからです。



世界の色を開放する答え合わせ

  1. 最初のトリガー f:id:hatuxes:20200206170409p:plain
    最初のトリガー

    BGMを選択する下の部分に時々メッセージが表れます。インタラクトできるので押してみてください。

  2. 城への飛び方 f:id:hatuxes:20200206170619p:plain
    遠方の木

    橋が出た後の先にある木。実はこれもインタラクトできるので、してみてください。

  3. RGB宝石の場所 f:id:hatuxes:20200206170659p:plain
    宝石のありか

    城の奥の左右のゲートを開けるためには、GRBと書かれた台座にそれぞれ色の宝石をささげる必要があります。
    それぞれの位置はだいたい上図の通りなので、探してみてください。
    緑色の宝石は、橋を渡って城に入らずに左右に曲がるといけます。
    (※ 思わぬコライダージャンプにお気をつけてください。)
    (※ 一度落とすと二度と手に入りませんので、落とした際は世界にrejoinしましょう)
    両方とも2018対応にて修正いたしました。

  4. 四つの白いスイッチを押す f:id:hatuxes:20200206170746p:plain
    上るためのはしご

    城の四頂点の頂上にスイッチがあるので、カチっと押してください。
    登るには、はしごをインタラクトすると登れます。
    すると、GRB台座の所に何かが降ってくるはずです。
    あとはその塊をインタラクトしましょう。





世界全体像

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上から見た世界風景


色を開放する際に城を訪れると思うんですが、あれはいったいどこに存在していたのでしょうかね?
これを考えるとすごい面白い答えが出ると思います。
気になる人は、お城に入る際の橋から川を見てみると答えがわかるかと思います。
それを認知したとき、全ての物に意味があることが気づけるはずです。




テーマとコンセプト

この世界のコンセプトは、のテーマに沿ってコミュニケーションでした。
一方で、テーマは世界線のズレでした。
コンセプトは勘の良い方だと気づかれるかもしれないですが、テーマは完全に裏側でした。
コンセプトについては後述します。
このテーマ、私としては中々に心を踊らされるので滅茶滅茶好きなんですよね。
今回もあらゆるところにズレを引き起こすキーポイントがありました。
「白黒の世界線なのかカラーの世界線なのか」「宝石をちゃんと置けたのか落としてクリアが出来なくなってしまうのか」などなど...
私としては、白黒の世界線とカラーの世界線の人同士がRespawn近くで話すのは、凄い良いことだなぁと思ったので、そうなるように設計しています。
色々なところで世界線がズレるも、同じ場所にいる人同士で会話をすることは出来る。
こんな矛盾した話が作れると思うと、作成当時から心がウキウキしていました。
そういうわけもあって、色を開放する流れの原点となる最初は、見つけづらい表示看板右下にしたわけです。
来訪者が全員、自分の力で分かってしまうと人同士のコミュニケーションが必要なくなりますから、わかる人にだけ「ん?」ってなるようにしました。
それに、世界線をズラすのにもちょうどよいですからね。素敵です。




コミュニケーショントリガー

今回ののテーマが「バーチャルコミュニケーション」でしたが、このコミュニケーションの部分は多くの参加者が悩んだと思います。私も少し悩みました。
しかし、これが考え方によって悩み解けるまでの間隔が違うことに気づきました。それも人によって違うと思うのですが、私だったら「人と人とのコミュニケーション」を空間だけを持って表現するのはしんどいな。と思ったのでそれはやめました。
なので、私は「来訪者個人と世界の真意とをコミュニケーションをする」ということ、つまりC to W(Consumer to World)で作っていこうという思いで今回作ることにしたのです。
これは私自身の今回のテーマに深くかかわってきます。
ではC to Wと世界戦のズレが一体どのようにかかわっているのでしょうか。
このC to Wの中で私が大事にしていたことはコミュニケーショントリガーでした。トリガーとはあれです。VRC_Triggerのトリガーです。
では、コミュニケーショントリガーとは何か。
この言葉自体は私が作ったものです。意味としては世界とのコミュニケーションポイントって感じです。言葉にしづらい...
世界というものは感情を持っており言葉を表せますが、発することはできません。ある意味、無生物感情ですかね。
なので、この世界の口となる場所を用意して、そこに気づいてもらえることで初めてC to Wの原点が成り立つのではという発想がありました。
実は今回、コミュニケーショントリガーをありとあらゆるところに置いてありました。あなたはどこまで気づけたでしょうか?
コミュニケーショントリガーがたくさんあることにより、その空間にいることが楽しくなっているのです。
このプラットフォームはChatなので話すことがメインなのですが、その話す内容を一個でも増やすことが出来るのであれば、それは作成者にとって素晴らしいことでもあり、そのキーポイントこそが私的にコミュニケーショントリガーなのです。
この考えが万人に伝わるとは到底思っていないのですが、共感してくださる方がいれば嬉しいですね。
コミュニケーショントリガーは作り方次第です。考えとしてはコミュニケーションが生まれるポイントを作るという感じです(?)

  • Pick Up出来る興味をそそりそうなアイテムをいい感じに置く。
  • 同時体験できる世界遷移を作る。
  • 乗り物を用意する。
  • 供に遊べるように機構を提示する。などなど

これは人と人とのトリガーの例だと思いますが、今回の私の世界のようにC to Wのようなトリガーでもよいわけです。
この原理は考えれば考えるほど素晴らしいものが浮かぶと思うので、言わば「発想の勝利」ですね。
今後の世界構築の足しにしてください。




作成者と来訪者の意識のズレ

これは作成者が私なので、誰にも共感されない話だと思います。
私としては、どこかで見たことあるような月の風景をバックに次々に訪れる人達と灯りを囲んでまったり話をして欲しかったわけです。
つまりは、あの色開放とかは全部おまけ要素でしかないのです。
来訪者であるあなたとしては、「ええっ!?」って思われる方もいるかもしれないですね。
これがズレなのです。
いやだって、白黒のままでもChat出来るじゃないですか。なんて...
白黒の世界が好みって方もいらっしゃれば、可視色の世界が好みという方もいらっしゃいます。
なので、どっちが正しいなんて結論はおかしいのです。
話がそれましたが、私は最初から灯りを囲んで「楽しかったねー」みたいな夏休みの終わりにキャンプをしているかのようにお喋りをするあなた方を想像していました。
灯りは中心のロウソクだけではないですよね?
どこか一点の話をしているわけではなく、”灯り”を囲んで話をしている姿をずっと想像しながら創造していたわけです。
「時間を忘れるようなワールド」というのはそういう意味なのです。
だからこそNo time.なのです。
面白い話ですよね。何かが終わり次が始まりそうな時に是非この世界でゆっくり話をしてほしいと思います。
たまには時間を忘れて楽しい相手とただただおしゃべりをする。そんな時間を無駄にする最高の瞬間を私は提供できたでしょうかね?
そういうのは、夕暮れ時の世界のほうが親しみやすいと思うのですが、私はなぜか夜の世界にしてしまったわけです。
夜の風景いいですよね。
私自身色々な世界を作ってきましたが、どうしても夜の世界にしがちです。共感できる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私の理由は単純です。

ゆっくりしたいからです。

まぁそんなこんなで、作成者と来訪者でもズレが出来るようにしたんですよね。
これに関しては、最初からズレる様に仕組まれていた。というのが正しいと思います。




反省点

コライダージャンプ

いやー、これに関して本当にすいませんとしかいえないです。
直前までのビルドでは何も問題なかったのに、Community Labsに上げるビルド前の修正で発生したようです。。。
宝石を置くときにすばやく移動できるので便利だと言ってくださる心の大きい方もいたのですが、VRAA審査期間後にちゃんと修正します。 VRChatが2018に対応してから直したいと思います。 2018対応で修正しました。

宝石の場所

これ、見つけれる人と見つけれない人で世界線がズレるというということだったのでありなのですが、発見した人に聞くとどうやら緑色の宝石を見つけるのが難しかったという意見が多かったですね。
これは私の意地悪な部分が出ているかなぁと(笑
確かに導線があるのは青色の宝石のみなので、難しいといえば難しいですよね。




おわりに

つまるところ、要は空間とコミュニケーションして欲しいなという私の気持ちでした。
ですので、文字をほとんど仕込まずに誘導したかったのです。
文字を置いたりとか、矢印を仕込んだりとかしてあげると確かに誘導しやすいですし、来訪者にもわかりやすくなるのでいいと思います。
しかし私として、それはこの世界の雰囲気に合わないですし、合わせたくないなと思っていたのでそれら無しにどうやって誘導していくかは大きな課題でした。
なので、「No time.」に行きたいです!って私に言ってきてくださる方と世界を巡る際も私は出来るだけ声を出さないようにしていました。
私が現地で全て教えてしまってはそれはもう面白くなくなってしまうでしょう。
自分で成し遂げる楽しさを味わってほしかったのです。それは私の純粋な気持ちです。
色を開放した後に気づいた人はエンドロールを見てくださったと思います。またそこで気づくかどうかでズレるわけです。
見てない方は見てみると良いでしょう。
そこにも私の気持ちが連なっていましたが、巡り巡ってあの世界は出来ています。
次はあなたの気持ちを見せてください。楽しみにしています。

Writed by ハツェ